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ホストクラブ白陽⑥

食後に黎翔はコーヒーを飲みながら尋ねた。
「夕鈴、今夜は暇なの?」
「今夜ですか?」
夕鈴は紅茶のカップに手を添えたまま考える。
予定なんて勿論無い。けれども正直に暇だと言ったら、また黎翔のペースに巻き込まれるのではないかと懸念する。
「え、と。何故ですか?」
「お店に、遊びに来ない?」
にっこり笑う黎翔に、夕鈴は溜息混じりに
「なんだ…営業ですか」
と言ったが、黎翔は意外そうな顔をした。
「営業なんかじゃないよ。夜も夕鈴と過ごしたいだけだよ」
「はい?」
「流石にお泊りデートはまだ早いでしょ?」
にこやかに爆弾発言をする黎翔に、夕鈴はカァッと顔を赤らめた。
「な、なな何で!?お泊り!?」
「好きな子と、ずっと一緒に居たいって思うのはおかしな事かな?」
不思議そうに首を傾げる黎翔を見て、夕鈴は何も言う事が出来ず口をパクパクとさせた。
「ね、遊びに来てよ」
「で、でも帰りが…遅い時間に一人で帰るのは危ないので」
やっとの思いで断る口実を見付けたと思った夕鈴だったが、黎翔はあっさりと
「じゃあ送って行くよ」
と微笑んだ。
「え?お店の終了時間まで居なきゃいけないんですか!?」
「夕鈴の好きな時間に帰って良いよ?その時間を休憩時間にしてもらうから」
どう言えば断れるのかしらと夕鈴は考え込んだが、眉根を寄せているその顔を見て、黎翔が心配そうな声で言った。
「――迷惑、だったかな?」
「…え?」
「夕鈴は、僕の事キライ?」
しゅんとしてしまった黎翔に、夕鈴は慌てて答える。
「きっキライとかじゃないですよ!?」
「じゃあ好き?」
ボフッと一気に顔を赤らめた夕鈴を見て、黎翔は夕鈴の髪を一房指に絡めると、妖艶な笑みを浮かべた。
「――良かった。嫌われてなくて…」
チュッと音を立てて髪に口付けし、スルリと髪を放すその表情や指の動きを、夕鈴は呆気に取られたまま見つめていた。

店は7時からだから好きな時間に来て、と黎翔に言われた夕鈴は、カップの中の紅茶に目線を落とした。
「夕鈴?」
「…やっぱり、行けません。一人でお店に入る勇気ないし…」
「――じゃ、一緒に行く?」
夕鈴が目を上げると、黎翔は口角を上げ静かに微笑んでいた。
「駅で待ち合わせしようよ。僕、夕鈴と一緒に行きたいな」
「一緒に、ですか?」
にこにこと笑う黎翔を見ていると、夕鈴は一回くらいなら良いかしら、と思えて来た。
「じゃあ、今夜7時に駅の北口で待ってるよ」
「――はい」
小さく頷いた夕鈴に、黎翔は本当に嬉しそうな笑顔を向けた。

店を出る時になって、夕鈴が財布を出そうとすると、黎翔がその手をやんわりと止めた。
「僕に払わせて?」
「そんな、悪いです。自分の分は払います」
黎翔は少し困ったように微笑み
「じゃあ、次は夕鈴が奢ってくれるかな?」
と夕鈴に耳打ちした。
レジの前であまりもめるのも店に迷惑だと思った夕鈴は、黎翔の提案に従う事にした。
「分かりました。あの、ご馳走様です」
にこっと笑った夕鈴の、花がほころぶような笑顔に黎翔は見惚れつつも、次のデートの約束が出来た事に薄く笑みを浮かべた。



SNS初出2013年7月16日
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『狼陛下の花嫁』の二次創作小説がメインです。

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