【掲示板】夏コミ

夏コミ、スペースいただけましたのでお知らせです。

日時:2018年8月11日
サークル名:趣味屋+福屋書店
スペース:西ら35a

新刊の予定ですが、未完になっている物を完結させる形で本にしたいと思っています。
原作沿いをまとめるか、現代版をまとめるかで悩んでいます。
改めてカテゴリを見て、そう言えばホストクラブだのルームメイトだのあったなぁと。
原作沿いも、二人の話以外にも陛下の幼少期を少しだけ書いてたなーなんて。

こんな状態ですので、何かリクエストありましたら、お気軽にお声をかけてくださいませ。
ぜひともよろしくお願い致しますm(__)m

そして、前回のスパコミでは思ったより多くの方が本を手にしてくださり驚きました。
正直、2、3冊出れば良い方かなと思っていたので、本当に驚きと感謝でいっぱいです。
皆様ありがとうございます。
これを励みに頑張れます!

それでは皆様、できれば夏コミでお会いしましょう(^ω^)
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夕立

暦の上ではもう秋だというのに、残暑の厳しいある金曜日。
夕鈴は黎翔のマンションのベランダから、今にも雨が降り出しそうな空を見上げていた。
「すごい雲……黎翔さん、傘持ってるのかな」
テスト期間中で早く帰れた夕鈴は、学校から真っ直ぐにこのマンションへ来ると、溜まっていた洗濯物を洗いベランダに干していた。
強い日射しと残暑特有の暑さですぐに乾いたそれらを取り込みながら、夕鈴は心配そうにもう一度空を見上げた。
「さっきまであんなに晴れてたのに……やっぱり台風の影響?」
白く輝いて見えていた雲はやがて暗く重く立ち込めるようになり、ぽつり、ぽつりと雨粒を落とし始めた。
「降ってきちゃったなぁ……」
リビングで洗濯物をたたみながら、黎翔は何時頃に帰って来るのだろうかと夕鈴は思った。
あまり酷い時じゃなければ良いなと思っていると、雨音は増々強くなり、窓に叩き付けるような降り方へと変わった。
「窓は全部閉めたし……念のためにタオル用意しておこうかな」
いつも帰りが遅い黎翔の事だから、きっと雨が弱くなってからの帰宅だろうとは思いつつも、夕鈴はタオルを出してきてソファーに置いた。
「お夕飯も、温かい物が良いかな?」
雨は激しく降り続け、そのために気温も下がっているように感じる。
夕鈴はキッチンに立つと、エプロンを着け冷蔵庫を開けた。
相変わらず自炊はしていない事がよく分かる冷蔵庫の中身をざっと見回した後、夕鈴は冷凍庫を開けいくつかの袋を取り出した。
前回訪れた時に、下ごしらえして冷凍しておいたそれらの食材を使って、何か体の温まる物を作ろうとした時、玄関から鍵を開ける音が聞こえてきた。
「え?」
まだ夜と呼ぶには早い時間。
こんなに早く帰って来れたのだろうかと、夕鈴はタオルを手に玄関へと急いだ。
「黎翔さん?早いですね」
「あぁ、夕鈴やっぱり来ていたんだ。そうかと思って出先から直帰してきたんだ。ただいま」
「お帰りなさい……って、びしょ濡れですよ!?」
玄関に立つ黎翔は全身からポタポタと雫が滴り落ち、足元には水たまりができる程だった。
夕鈴からタオルを受け取り、顔や頭を拭きながら黎翔は苦笑した。
「会社を出た時には降ってなかったから、傘を会社に忘れちゃってね。駅に着いたら土砂降りで参ったよ。雨で体がすっかり冷えたな」
「電話をくれればお迎えに行きましたよ?」
もう一枚持ってきたタオルで黎翔の肩や背中を拭いながら、夕鈴は言った。
その夕鈴の手をとり、指先に軽く唇をつけてから、黎翔は笑みを浮かべた。
「雨に濡れた姿も魅力的だとは思うが、夕鈴に冷たい思いはさせたくないな」
「な、なにふざけた事を言ってるんですか!こんなに冷たい手で……すぐお風呂入って温まってください!」
黎翔の手からタオルを取り、バスルームを指差しながら夕鈴は真っ赤な顔で言った。
「えー?久しぶりに会えたのにハグも無し?」
「びしょ濡れはイヤです!」
怒ったようにそっぽを向く夕鈴の頬にキスをしてから、黎翔はバスルームへ向かった。
「じゃ、温まったら続きね」
「つ……続きって何ですか!?」
笑いながらバスルームへ入って行く黎翔の後ろ姿を見ながら、夕鈴はさらに赤くなった頬を押さえ叫んだ。

夕鈴はキッチンで料理をしながら、浴室から出てきた黎翔が脱衣所でドライヤーを使う音を聞いていた。
濡れてしまった服は、すぐに洗った方が良いだろうか。
それともスーツは乾かしてからクリーニングに出した方が良いのだろうか。
ふと疑問に思った夕鈴は、黎翔に聞いてみる事にした。
「黎翔さん、あの……」
脱衣所の鏡の前の黎翔は、ドライヤーで髪を乾かしながら目を閉じうつむいていた。
どうやらドライヤーの音で自分の声は聞こえなかったようだと思った夕鈴に、悪戯心が湧いてくる。
「黎翔さん……好き」
小さく呟いた夕鈴の声と同時に、ドライヤーの音が止んだ。
驚いた夕鈴の丸い目と、鏡に映る黎翔の目が合う。
「――僕もだよ」
鏡越しにニヤリと笑う黎翔に見つめられ、口を開けたまま夕鈴は顔を耳まで赤く染めた。
「き……聞こえて……?」
「勿論」
恥ずかしさのあまり逃げ出そうとする夕鈴を後ろから抱き締め、黎翔は夕鈴の耳元で囁いた。
「愛してるよ、夕鈴」
途端に熱くなった夕鈴の頬に自分の頬を寄せ、黎翔はくすりと笑った。
「お風呂で温まったはずの僕より、夕鈴の方が熱いね」
「知りませんっ!もう放して!」
腕の中でジタバタと暴れる夕鈴を抱き上げ、黎翔はソファーに腰を下ろし夕鈴を自分の膝の上に座らせた。
「まだ寒いから温めてくれる?」
ぎゅっと抱き締められ、夕鈴は半ば諦めながら溜息を吐いた。
「体が温まる物を作りますから、放してくれませんか?」
「夕鈴が一番温まるから、もう少しこのままで」
しょうがないなぁと顔を上げた夕鈴の目に、雲間から差し込むこの日最後の陽の光が作った淡い虹が映った。
「あ……黎翔さん、虹ですよ」
「本当だ。雨止んだみたいだね」
二人が見ている間に虹は色を失い、空は夜の色に変わっていった。
「綺麗でしたね……」
「うん、夕鈴と見られて良かった」
にこにこと笑いながら言う黎翔の肩にもたれかかり、夕鈴も微笑んだ。
二人の間にまた一つ増えた、そんな日常のささやかな思い出。



SNS初出2016年9月6日

テーマ : 二次創作
ジャンル : 小説・文学

魔術師ユーリンが召喚した使い魔は獣人・狼一族の末裔でした③

「何かって、何ですか?」
真っ直ぐに森の奥を見つめるレイの真剣な横顔に不安を感じたユーリンは、思わずレイの袖を掴みながら尋ねた。
「おそらく――いや、まだはっきりしないな」
「弟は……大丈夫でしょうか」
レイは袖を掴んでいるユーリンの手を、もう片方の手でそっと包みながら微笑んだ。
「ユーリンの弟はここから近い所に居る。奥に居る者とはかなり離れているから心配ない」
「良かった……」
安堵の溜め息と共に、自分の手が握られている事への恥ずかしさが込み上げてきたユーリンは、慌ててレイの手を振りほどこうとしたが、逆にその手を引かれ抱き締められてしまった。
「な、な、なんで!?」
かろうじてランプを落とさずに済んだ事を自分で誉めつつも、ユーリンは自分の置かれている状況に頭が混乱した。
「震えている――寒いのか?」
「寒くなんかありません!!」
ユーリンは腕を突っ張りレイの胸を押して体を離そうとしたが、レイは腕の力をゆるめる事なく、その中からユーリンを逃がそうとはしなかった。
「では、怖いのか」
「っ!!」
図星を指摘され、ユーリンの頬がさっと朱に染まる。
こんな闇の中で、いつ魔物に襲われてもおかしくない今の状況に、恐怖を感じない人間などいるだろうか。
「それは……怖いです。私は魔術師とは言ってもまだ駆け出しで、魔物から自分の身を守るような魔法も使えないですし」
「大丈夫だ」
「……え?」
レイの言葉が柔らかい声音に変わり、ユーリンはその顔を見上げた。
「召喚された身として、私がユーリンを守ろう。その体には何者も指一本触れさせぬ」
薄い笑みを浮かべるレイの顔を見ながら、ユーリンは魔物のレイを果たして信用してよいものかと悩んだ。
『魔は気まぐれなもの』
そう言ったレイの声が甦る。
だが今、自分には自分自身を守るだけの力も術も無い。
それは痛い程に分かってはいるが、ユーリンは大きく息を吸い込むと、力強い眼差しでレイを見据えた。
「確かに召喚はしましたけど、契約していない魔物の言う事は信じちゃいけないって習いましたし、出来るだけ自分で頑張ります!」
「……自分で?」
レイの薄い唇が弧を描く。
「そ、そりゃ私は獣人のレイから見たら、ひ弱な存在かもしれませんけど」
ふてくされた様に言うユーリンに、レイは静かな声で言った。
「――人間は魔物より強い。特に、ユーリンのように生命力に満ち溢れた人間はな」
「人間が……強い?」
意外な事を言われ、ユーリンは目を丸くした。

テーマ : 二次創作
ジャンル : 小説・文学

魔術師ユーリンが召喚した使い魔は獣人・狼一族の末裔でした②

ユーリンとレイは連れ立って、森へと続く夜の道を歩いた。
「足元、暗くないですか?」
「私は夜目が利くから問題ない」
家がぱらぱらとあるだけの、町の中心地から離れたこの辺りでは人々の戸締まりも早く、他の人間に会う事は無かった。
ユーリンはランプの心もとない灯りで自分の足元を照らしながら、誰とも会わずに済んでいる事に感謝した。
見慣れない異性と夜中に一緒にいた、などと誰かの口に上れば、そんな噂は狭い町の中ではあっという間に広がってしまう。
――獣人と言っても、見た目は人間だものね……
ふと隣に立つレイの顔を見上げたユーリンに、レイが微笑を返す。
「どうした?」
「いえ……狼一族って言っていましたけど、人間と見た目が変わらないんだなって」
「――狼の姿が良いなら変わるが」
事も無げに言われたその一言に、ユーリンは息を飲んだ。
「変化出来るんですか!?」
「無論だ。この姿は、ユーリンを怖がらせないように人間に寄せただけのものだ」
獣人には、変化出来る者と出来ない者がいる。
出来ない者の姿は様々で、完全に狼の姿の者もいれば、人間に近いが牙や鋭い爪、毛深い体を持つ者もいる。
変化出来る者の、変化後の姿も同じように様々だ。
レイは変化したらどんな姿になるのだろうかと、ユーリンは考えた。
「……今の姿で、狼の尻尾だけ生やすとかって出来ます?」
「出来るが、どんな意味が?」
「いえっ、いいんです!ただの興味本意です!」
慌てるユーリンの肩を抱き、レイは顔を寄せ囁いた。
「尻尾では、服を脱がねば見えぬが――見せろと?」
「そんな事言っていませんっ!」
楽しそうなレイの笑い声を聞きながら、ユーリンは火照った頬をレイに見せまいとでもいうように、そっぽを向いた。


「……ここが、森の入口です」
木々が鬱蒼と生い茂り昼間でも薄暗い森は、夜には真っ黒い闇の塊に見えた。
「まだ、魔物の気配はしないが――」
レイはするりとユーリンの腕に腕を絡め、その手を握った。
「用心した方が良いな」
「な、何で手を?」
「森の中は人間には歩きやすい道ではないだろう?転ばぬように――それと、弟の下まで案内しよう」
レイはそう言いながら森の中へ入って行く。
「弟がどこにいるか分かるんですか?」
手を引かれながら、ユーリンは尋ねた。
「あぁ、こちらからユーリンに似た匂いがする」
レイは灯りも持たないのに、よくこんなに真っ暗な闇の中を歩けるものだとユーリンは感心した。
ランプで照らされた自分の足元だけを見ているユーリンとは違い、レイは前を見て進んで行く。
やがて少し開けた場所に出た時、レイは足を止め呟いた。
「――近いな」
「え?弟ですか!?」
「いや」
その瞬間、何かが木の陰から飛び出しユーリンに向かって来た。
「――これは私のもの。手出しはさせぬ」
レイの落ち着いた声と、何かの叫び声が同時にユーリンの耳に届く。
「な……なに?」
「小物の妖魔だ。血の匂いに惹かれたか」
ユーリンがランプを向けると、レイの手から何かがだらりとぶら下がっているのが見えた。
コウモリのような羽と、細く長い尻尾を持つ黒い獣。
「血の匂いって……さっきの傷ですか?もう血は止まってますけど」
「例え血が止まっていても、傷口からは血の匂いがする」
レイは当然といった口調で答え、その妖魔を繁みの中へ投げ捨てた。
「今のが、噂の魔獣……?」
「違うな」
「……え?」
レイは森の奥へ目を向け、静かに言った。
「――もっと奥に、何かが居る」



SNS初出2016年6月1日

テーマ : 二次創作
ジャンル : 小説・文学

魔術師ユーリンが召喚した使い魔は獣人・狼一族の末裔でした①

「……我が呼び掛けに応じ出でよ!…………あれ?」
薄暗い部屋の中、床に描かれた魔方陣の上に立つユーリンは、首を傾げ魔導書を読み返した。
「呪文は合ってるのに……やっぱり私じゃ無理なのかな……っ痛っ!」
ページをめくった際に、魔導書を支えていた指先を背表紙の飾り金具で切ってしまったユーリンは、傷口から出てきた血で汚れない様にと、取り敢えずそれを床に置いた。
「あっ」
誤って指先が床に触れてしまい、魔法陣に血を付けてしまった、とユーリンが思うのと同時に、部屋中に真っ白な煙が立ち込めた。
「え……何?」
視界が完全に閉ざされ、部屋から出る為にドアを手探りで探していると、不意に背後から誰かに抱き締められユーリンは叫び声を上げた。
「――私を呼んだか?」
耳元で囁かれる低い声に、ユーリンの背中がざわつく。
「だ、誰?」
ユーリンが尋ね返した途端に、さあっと部屋中の煙が嘘の様に無くなった。
「誰、とは心外だな。私を呼んだであろうに」
そう言った声の主は、くるりとユーリンの向きを自分へと変えた。
目の前に立つのは、見た事のない長身の男性。
「……呼んだって、まさか」
「私は狼一族の末裔――レイ、とでも呼んでくれ」
にやりと笑う端正な顔立ちは、とても獣人のそれとは思えなかったが、人間とは明らかに違う紅の瞳がその事を証明していた。
しばらくその瞳に見とれていたユーリンは我に返ると、両手でレイの胸を押し自分から遠ざけた。
「獣人!?そんな高位な……わ、私は下級の妖魔を呼び出そうとしただけなのに!」
「あんなに魅力的な血の匂いがしては、な」
「……血?」
ユーリンはもう血は止まっているものの、まだ痛む指先に視線を落とした。
「処女の生き血を贄にするとは気前の良い」
「しょ……!?な、何て事を!」
真っ赤な顔で叫ぶユーリンに、レイは笑いながら続けた。
「それで、妖魔を呼び出して何をするつもりだったのかな?」
「あ、そうだった!弟が森に薪を拾いに行ったまま戻らなくて」
ユーリンの言葉を受け、窓の外に広がる空一面の夕焼けを眺めながら、レイは言った。
「もうすぐ夜――我々の時間という訳か」
「……弟を迎えに、一人で夜の森に入るのも心細いから、誰か呼び出して一緒に行こうと思って」
「何故、人に頼らぬ?」
レイはユーリンの髪をさらりとすくいながら尋ねた。
「だ、だって夜の森には魔獣が出るって噂が……」
「面白い」
指先に絡めたユーリンの髪に口付けをしたレイは、笑いを含んだ声でそう言った。
「私が共に行こう」
「え……契約もしてないのに?」
不思議そうに尋ねるユーリンの瞳を見つめながら、レイは口の端を上げた。
「元来、魔は気まぐれなもの――それとも私では不服か?」
「い、いえっ、とんでもないです!」
相手が高位な存在である事を思い出し、自然とユーリンの口調が敬語になる。
もっとも、レイがまとっている雰囲気自体が、高貴な立場にある者独特のものとしか思えなかった。
――もしかして、力のあるヒトなのかな?
魔の世界は、力のある者が上に立つ弱肉強食の世界。
そして高位にある者ほど、魅力的な姿をしている。
そう教わったユーリンは、改めてレイの姿を観察してみた。
「どうした?そんなに見つめられると……」
レイは言いながらユーリンを抱き上げた。
「――食べてしまいたくなる」
「っ!人を食べるんですか!?」
一瞬レイは目を丸くし、ユーリンを抱えたままで肩を震わせ、忍び笑いを漏らした。
「素直な娘だ」
自分は何か変な事を言ったのだろうかと、ユーリンはレイが笑う訳が分からず口をとがらせた。
「だって、獣人が人間を食べるなんて、聞いた事ないですよ」
「――獣人が人間を娶った話は?」
「それは、ありますけど……何か関係が?」
きょとんとした顔で自分を見上げるユーリンに、レイは苦笑した。
「たとえ獰猛な狼でも、腕の中から逃げぬ兎を襲う真似は出来ぬな」
「腕の中って……勝手に抱き上げたのはそっちじゃないですか!」
耳まで赤く染めながら、ユーリンはレイの腕から逃れようともがいた。
「暴れると落ちるぞ」
レイはふっと笑いながら、ユーリンの額に唇をつけた。
「なっ!何を!?」
「まじないの様なものだ。さぁ、夜の森へ向かうとするか」
ユーリンは額を押さえ、頬を膨らませながらも頷いた。



SNS初出2016年5月27日

テーマ : 二次創作
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

*へもへも*

Author:*へもへも*
『狼陛下の花嫁』の二次創作小説がメインです。

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