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冬の過ごし方

※本物夫婦設定



朝、小鳥のさえずりに目を覚ます。
朝日が射し込む窓に目をやり、今日も凛とした冷やかな空気に身がすくむ。
起きなきゃと思う反面、この温もりから離れたくないと無意識に掛け布の中で身動ぎする。

すると後ろから長い腕に絡めとられ、耳のすぐ後ろで囁かれた。
「おはよう夕鈴。今朝も早起きだね」
「起きてらっしゃったんですか?」
自分の腹の前で組まれた手にそっと手を添え、私は聞き返した。
「今、起きた」
そう言いながら私の髪に顔をすり寄せて来る陛下は、まるで甘える猫のようだ。
「昨夜も遅いお戻りでしたよね?まだ眠いのでは?」
「んー…少し」
ひとしきり私の髪で遊んでから、陛下はチュッと音をたてて私の首筋に唇をつけた。
「冬だからね、冬眠したくなるのかも」
その眠そうな物言いに、私はクスクスと笑ってしまった。
「――何?」
「狼は冬眠しませんよ?」
ん、と眠そうな声で短く返事をした陛下は、ぎゅっと私を抱き締め呟いた。
「今日も寒いな…」
「温かいお茶でもお淹れしましょうか?」
「お茶よりも……夕鈴が温めてくれる?」
へ?と思った時には体をくるりと回転させられ、背と腰に手を回された。
向き合う形で抱き締められ、私は陛下の胸に頬をつけた。
「やっぱりこの方が良いな。夕鈴は温かいね」
夜着がいくぶんはだけている為に、私の頬に陛下の胸の温もりが直に伝わる。
そのひんやりした感触に、私も陛下がしているのと同じように広い背中に腕を回し、ぎゅっと抱き付いてみた。
「あ、温かいですか?」
「――うん、とても」
かあっと頬が火照るのを自分でも感じる。
本物の夫婦になった今でも、自分から何かをするのはとても恥ずかしくて勇気がいる。
陛下もそんな私の事を理解してくれていて、たまに私がこうして自分から行動すると、すごく嬉しそうな顔をしてくれる。
「――狼は冬眠しない、か。でも巣ごもりくらいはするかな?」
「…陛下?」
見上げると、そこにはやはり嬉しそうに微笑む陛下の顔。
「寒い時には、狼も僕達のように仲間と身を寄せ合うのかな」
「……そうかもしれませんね」
つられて頬が緩んだ私の額に、陛下が口付けを落とす。
「でも、僕の腕の中にいるのは可愛らしい兎だね」
「ご不満ですか?」
「まさか」
口の端で軽く笑った陛下が、体を起こし私の上に覆い被さった。
「こんなに美味な兎も他にいるまい」
そのまま私の首筋を唇でたどりだす陛下に、私は慌てて尋ねた。
「へっ陛下!!もう朝議に行かれるお時間では!?」
「まだ大丈夫だ」
陛下の大きな手が私の体の線をなぞる。
「っ!!もうっ!!陛下ダメですっ」
「――夫婦なのに?」
どこか楽し気な口調で聞き返す陛下の、不埒な動きをするその手をパシッと叩き私は言った。
「夫婦でも、けじめというものがあります!!妃に溺れてるなんて言われないようにしっかりお仕事なさって下さいっ!!」
「たまには溺れてみたいけどなぁ」
クスクス笑いながら再び抱き締めてくる陛下の腕の中で、温もりにすっぽりと包まれ心が安堵する。
「……私の方が陛下に溺れているのかも」
思わずポツリと漏らした本音に、陛下が息を飲む気配がした。
「ずるいよ、ゆーりん」
「え?」
「そんなに煽るような事を言うくせに、手を出すと怒るんだから」
「あ、あお…っ?そんなつもりじゃ」
必死に弁解しようとワタワタし出した私の頬に、ぺたりと自分の頬を押しあてた陛下は
「分かってるよ」
と言って私の頭を軽くぽんぽんと叩いた。
「さて、働き者の妃を見習って私も起きるとするか」
「あ、あの…陛下?」
「うん?」
私は陛下の首に腕を回し、頬にそっと唇をつけた。
「お…お仕事が滞りなく進むように、その、おまじないです」
ぱっと体を離した私の顔を、頬を押さえた陛下は意外そうな顔付きで見ていたけれど、やがてにっこりと微笑みながら言った。
「――ありがとう。早く戻って来るよ」
やっぱり陛下には私の考えなんてお見通しなのね、と少し恥ずかしく思いながら、私は陛下に精一杯の笑顔を向けた。



SNS初出2013年12月1日
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看病

SNSでの足跡7000hitのキリリクです。



陛下が熱を出した。
普段は病気一つしない方だから、具合が悪そうだと気付くのが遅れてしまった。
いつも側にいるのに、気付けなかった自分がもどかしい。

赤い顔をして、早く浅い息遣いの陛下が寝台に横たわっている。
私は額に乗せられている、すっかり温くなってしまった手巾をそっと取った。
それでも陛下は目を開けることもせず、よほど深く眠っているのだろうかと思えた。
手巾を桶の冷たい水に浸し、絞ってからまた陛下の額に乗せる。
陛下が熱を出してから、もう何回目か分からない動作をしながら、一向に下がらない熱に不安になる。

陛下と本当の夫婦になってから、気持ち的にも満たされた毎日を送っていた。
こんな不安な気持ちを味わう日が突然やってくるなんて、微塵も思わせないほどに幸せな日々。
でもそれは陛下がくださった幸せだと、こんな時になって気付く。
――早く、熱が下がって…目を開けて。私を見て欲しい……

その時、陛下の目がうっすらと開いた。
「陛下、ご気分は…?」
私が尋ねる声に少しこちらを向いたけれど、まだ夢と現実の境を彷徨っているような眼差しをしている。
「何か欲しい物はございますか?」
私がゆっくり、そう尋ねると陛下の唇がかすかに動き
「水を…」
と擦れた声で呟いた。
私はすぐに茶杯に水を注ぎ陛下の口元に運んだけれど、熱のために意識が朦朧としているらしく口を開けてくださらない。
「陛下、お水ですよ?」
声をかけても、またトロトロと眠りに誘われているようで返事も無かった。
けれどずいぶん汗もかかれているし、先程の声も擦れ切っていた。
水分を摂らないと、今度は脱水症状を起こすかもしれない。
「お水、飲んでください」
陛下の耳元で言ってみたけど、やっぱり浅くて早い呼吸の音が聞こえるだけ。
――どうしよう…このままじゃ……
意識のない人に水を飲ませる方法、と考えて一つだけ思い付いた。
と同時に自分の頬がカアッと熱くなり、真っ赤になったのが自分でも分かる。
胸もドキドキするし、周りに誰もいないのに、キョロキョロしてしまう。
――あ、相手は病人なんだし、水分摂らなきゃいけないし…
~~~でもやっぱり恥ずかしいっ
目をギュッと瞑った時、陛下の擦れた声が聞こえた。
慌てて陛下の口元へ耳を寄せたけど、何て言っているのかまでは分からなかった。
―――夫婦なんだし、恥ずかしがる事ないわよね
頭からボフッと湯気が出た様な気がしたけど、何とか気持ちを落ち着かせた。
茶杯の水を口に含み、陛下の顔に近付く。
~~~相手は病人!これは看病!!
そのまま陛下の唇に自分の唇を重ねた。
何とか水を移すと、陛下の喉がコクンと動いた。
ホッとして体を離したら、陛下が潤んだ瞳でこちらを見ていた。
「―――もっと…」
ううっ…恥ずかしいんだけどっ!!
それでも、もう一度水を含み唇を重ねた。水を移し、唇を離そうとしたら陛下の腕が背に回された。
驚く間もなく、舌を絡められる。
もう恥ずかしいし、何でこうなっているのか分からないし、私の頭はパニック寸前だった。
熱のせいか陛下の舌も口内も熱くて、絡められる度に意識が遠退きそうになる。
短いような長いような時間の後、やっと唇が離れて陛下の顔を見ると、先程までのぐったりした様子とはまるで違って、ニヤリと笑っていた。
「――きっと君の方が顔が赤いな」
「なっ、陛下!いつから…」
「君が水を飲ませてくれた時に、意識がハッキリした」
そう話す陛下の口振りはいつもの陛下の様で、私は怒るよりも安心して気が抜けてしまった。
「良かった…心配しました」
「すまなかった……君には心配をかけてばかりだな」
「いえ、そんな事は……」
私は改めて茶杯に水を注ぎ陛下の口元に寄せた。少し頭を起こして水を飲んだ陛下は、フーッと息を吐きまた横たわった。
「…陛下が側にいてくださらない方が、不安です」
「不安?」
「はい…いつも側にいてくださる陛下が、私を幸せにしてくださってるんですから」
陛下とこうして話が出来るのが嬉しくて、自然と笑顔になってしまう。
「――違うな」
「え?」
「私の方が、君に幸せにしてもらってるんだ」
陛下の目が細められ、光の加減で紅く見える瞳に見つめられ、私の頬がまた熱を持つ。
寝台の上にあった陛下の手が私の手を掴み、そっと包まれた。
「――夕鈴、僕と共にいてくれてありがとう」
「私こそ…お側にいさせてくださって、ありがとうございます」
陛下が柔らかく微笑むから、私も陛下を見つめて微笑んだ。



リクエスト内容は
『風邪をひいて自分で水分を摂れない陛下の為に真っ赤になりながらも口移しで飲ませる夕鈴』

SNS初出2013年3月14日

バレンタイン

こちらはコミュのバレンタイン限定トピに掲載した物です。



「陛下、今日老師から変わったお祭りの話を聞いたんです」
夜のお茶を二人で楽しんでいる時、夕鈴が思い出したように話しだした。卓を挟み向かい合って、長椅子に座っていた黎翔は自分の膝をポンポンと叩いて
「寒いから、こちらへおいで」
とにっこり笑った。夕鈴は立ち上がったものの、恥ずかしさから頬を染めて黎翔の隣に腰を下ろした。するとすかさず黎翔の力強い腕に攫われ、膝の上に横向きに抱き上げられた。
「我が妃はいつまでも初々しいことだ」
からかうような黎翔の口調に夕鈴は袖で口元を隠し、少し拗ねたような目で黎翔を見た。
「――それで、何を聞いたって?」
「バレンタイン、というお祭りについてです…陛下はご存知ですか?」
黎翔は少し首を傾げながら言う。
「名前ぐらいはね、恋人同士が贈り物をする日とか」
「何ででしょうね?」
夕鈴が老師から聞いた話では、花束やお菓子を贈るらしい。何故こんな寒い時期に、と夕鈴は話を聞きながら疑問に思ったのだ。
「う~ん、由来は色々あるらしいよ。宗教的なお祭りだったとか、有名な人の亡くなった日だとか」
「へ~何か意外ですね」
「うん、あとはね『鳥が愛を囁き始める日』とも言われているね」
夕鈴はその言葉にキョトンとした顔をした。そんな夕鈴の頬に手を添え、黎翔は視線を絡ませる。
「もし私が鳥だったら、愛しい妃に一年中愛を囁くがな」
夕鈴の顔がカアッと赤くなるが、黎翔の手が添えられているため視線を外す事ができない。夕鈴はドキドキする胸を押さえながら言った。
「そ、そんな事言って、私が鳥じゃなく猫だったらどうするんですか?」
「猫?」
思いがけない夕鈴の言葉に黎翔は目を瞠ったものの、すぐに妖艶な笑みを浮かべた。
「――たとえ君に食われるとしても愛を囁くよ…肉の一片、骨の一欠片まで残さず食らい尽くしてくれ」
「な、な…何言って…」
あまりの恥ずかしさに目を回す夕鈴を、黎翔は抱き上げたまま立ち上がる。そして歩き出しながら夕鈴に囁いた。
「――だが今は…君を残さず食らいたい…」



SNS初出2013年2月14日

風邪の日

こちらもコミュ(略)←
1月9日【風邪の日】



ある冬の寒い日、珍しく夕鈴が風邪をひいた。
いつも元気に動き回っている妃がグッタリと赤い顔で寝台に横たわっている。
侍女達も心配気に白湯を用意したり、額のぬるくなった布を冷たい物に交換したりしている。
黎翔はそれらの動きを黙って眺めていたが、おもむろに手を上げ侍女を下がらせた。
夕鈴の寝ている寝台に腰掛け、そっと熱い頬を撫でる。目を覚ます気配のない夕鈴の顔をしばらく見つめた後、黎翔はこの部屋に運ばせた仕事の山を片付けるために立ち上がった。
筆を走らせ書簡に目を通し、時折夕鈴の様子を伺う。と、夕鈴の小さな声が聞こえた。
「…水」
黎翔は直ぐに傍へ行き、夕鈴の背に手を入れ上半身を少し起こすと白湯を飲ませた。
「…陛下、お仕事は…」
「この部屋でしている」
「うつります、よ?」
「大丈夫だ…他の部屋では君の声が聞こえない」
夕鈴を再び寝台に横たえ、黎翔は目を細めた。
「でも、侍女さんが…」
「こんな時くらい独り占めさせてくれ」
その拗ねた口調に夕鈴は、しょうがない人ね、と苦笑して目を閉じた。



SNS初出2013年1月31日

縋る手

カテゴリ『本物夫婦設定』にしたけど、恋人設定でも良い感じのお話です。
陛下の独り言です。



君と一緒に眠る夜。
僕は、君を抱き締めて眠る。
寝ている間に、君がどこへも行かないように。
そんな僕の不安に気付かず、君は恥ずかしいと言うけれど。

君の寝息が聞こえ始めて、僕はようやく君の体から腕を解く。
けれど、その僕の腕を追い掛けるように、君の腕が僕に縋りつく。
君のそんな無意識の行動に、僕の心は捕われる。
僕の心を捕えて放さない君。
その君の心を捕える事は、僕にできるのだろうか。
せめて体だけでも捕えておきたくて…
僕はもう一度、君の体を抱き締めた。



SNS初出2013年1月31日
プロフィール

*へもへも*

Author:*へもへも*
『狼陛下の花嫁』の二次創作小説がメインです。

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